わが家では、子どもと「おうち抹茶」を楽しんでいます。きっかけは私の何気ない好奇心からでした。

京都に住み始めて20年。この街で暮らしていると、否が応でも日本の歴史や文化に触れる機会が増えます。古い寺社を訪れたり、伝統行事に参加したりするうちに、日本文化への興味が自然と湧いてきたのです。

あるとき、私はふと「日本文化をもっと身近に感じられるような習慣はないかな」と考え始めました。特にお茶の文化に惹かれていた私は、まず茶道について調べてみることに。

しかし、本格的な茶道を習うのはハードルが高そうです。かといって、何もしないのはもったいない。

そんなとき、たまたま友人が教えてくれたのが、初心者向けの茶道具セットでした。

茶碗、茶せん、抹茶などがセットになった、手軽に抹茶を始められる茶道具6点セット。値段も数千円と意外に手頃です。

「これなら始められるかも!」

そう思ってポチっと注文ボタンをクリックしたのが、わが家の「おうち抹茶」の始まりでした。

初心者でも簡単!「おうち抹茶」の点て方

抹茶を点てるのは意外と簡単です。正式な作法ではありませんが、私なりの「おうち抹茶」の楽しみ方をご紹介します。


お湯で温めた茶碗に抹茶を入れます。
茶こしでこすと、きめ細やかな泡が立ちやすいそうです。


目分量でお湯を入れ、茶せんでシャカシャカと点てていきます。


綺麗に点てられるとそれだけでごきげんに。

不思議なもので、抹茶の香りを胸に吸い込むと自然と心が落ち着いてきます。朝の忙しい時間でも、抹茶を飲みながらゆっくり深呼吸すると、なんだか心にゆとりが生まれる気がするのです。

“小さな茶人”の誕生?子どもたちと楽しむ抹茶時間

さて、わが家には9歳の娘と6歳の息子がいます。

子どもたちが起きる前の静かな朝、以前はコーヒーを飲みながら一日の準備をしていました。しかし、抹茶を点てるようになってから、朝の時間の過ごし方にちょっとした変化が。

「パパ、それ何してるの?」
「僕もやってみたい!」

子どもたちの目は好奇心でいっぱいです。私が茶せんを回す様子を真剣なまなざしで見つめています。

そこで、YouTubeで見つけた「抹茶の点て方」の動画を一緒に見ながら、見よう見まねで教えてみました。

すると、小さな手で茶せんを握り、一生懸命「シャカシャカ」とお茶を点てる子どもたち。その表情は真剣です。

さっそく「自分で点てた抹茶、飲んでごらん」と促し、子どもたちにも抹茶を飲んでもらいました。

「いい匂い!」「おいしい!」

・・・とまではいきませんが(笑)、「お〜」「ふんふん」と香りを楽しむ子どもたち。一口飲むと「ちょっと苦いけど、抹茶ってこういう味なんだね」と微笑ましい感想もいただきました。

こうしてわが家では、子どもたちと一緒に抹茶を楽しむ習慣ができたのでした。

気軽に楽しめる「おうち抹茶」で穏やかなひとときを

抹茶や茶道というと、なんだか敷居が高そう…と思う人もいるかもしれません。たしかに、茶道の世界は奥深い。知識と経験を重ねるほどに新しい発見があり、茶碗の選び方や点前の作法、季節ごとの和菓子の楽しみ方など、学べば学ぶほど魅力に引き込まれていくでしょう。

でも、そんな茶道の奥深さの入り口として、日々の暮らしの中で抹茶を楽しむことはできるものです。大切なのは、自分なりの心地よいペースで楽しみ、そのひとときを味わうこと。それだけで十分に和の心を育んでいると言えるのではないでしょうか。家族と一緒に楽しめれば、さらに心温まる時間が過ごせるはずです。

さあ、みなさんも「おうち抹茶」、始めてみませんか?

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ライター:間宮まさかず

京都市在住。妻、9歳の娘、6歳の息子と暮らしています。