「ね、見た!?」
「ながれ星!!」
ある日の夕方、小学4年生になる娘と二人で流れ星を見た。こんな住宅街でも見えるんだと驚いた。あまりに早くて突然で願い事なんて考える暇もなかったけれど、私たちは言葉にならない嬉しさで、しばらく顔を見合わせていた。
流れ星は流星群?
天気予報などで「今夜は〇〇流星群が最大です」みたいな話がたまにある。日本では流れ星が見やすい三大流星群というのが毎年定期的にあって、それ以外にも規模の小さい流星群があるらしい。
三大流星群
しぶんぎ座流星群 12月28日~1月12日
ペルセウス座流星群 7月17日~8月24日
ふたご座流星群 12月4日~12月20日
(国立天文台ホームページより)
時期だけを考えるとこの前の流れ星は流星群とは関係なかったようだ。「流れ星とは、宇宙空間にある直径1㎜~数㎝程度の塵粒が地球の大気とぶつかり、地球大気や気化した塵の成分が光を放つ現象」だというから、いつどこで流れるかわからない流星も当然ある。
星空保護区🄬
星のことを調べていたら聞きなれない言葉に出会った。「星空保護区🄬」。夜空も野生動物のように守らねばならない対象になったということだろうか。
たしかに横浜の夜は明るい。街灯や門灯、高いビルの赤い光がどこにいても見える。防犯を考えれば闇夜を照らすことで得られる安心感は大きい。その恩恵に預かっている者として、夜の人工的な光は無くなっては困るもの。一方で、その灯りが人口密集地を離れた地域の地平線までもぼんやり明るくしているのもまたひとつの事実なのだ。
星空保護区🄬とは、光(ひかり)害のない暗い自然の夜空を保護・保存するための優れた取組みをたたえる制度。
認定には、屋外照明に関する厳格な基準や、地域における光害に関する教育啓発活動などが求められます。そしてそれらは、自治体・観光業界・産業界・地域住民など多くの人々の理解と努力によって支えられます。また、認定の公表により、夜空保護の重要性、光害問題の現状と対策について、広く啓蒙することを目的としています。
この活動はアメリカのNPOダークスカイ・インターナショナルが実施している。世界で229か所(2024年10月現在)。日本国内では2018年に沖縄の西表石垣国立公園、2020年に東京の神津島、2021年に岡山県の美星町、2023年に福井県の南六呂師の4か所が認定を受けている。
京都や鎌倉など、伝統的な町並みを大事にしている自治体では景観に関する条例がある。例えば、商業施設の派手な看板を地味にさせたり、高層の建物を禁止したりして町全体との調和を図っている。星空保護区🄬への取組みはそういうものと似ている。認定なんかなくても真っ暗な夜空はあるんだろうけど「ここの夜空は暗い」というアピールが、経済合理性と地域づくりと環境保護と、いろんな思惑に合致することがあるということなんだと思う。
冬の夜空を眺める
これから冬にかけて空が澄んでいる日が増え、市街地からでも星がよく見える。オリオン座をはじめとする冬の大三角形は素人でも見つけやすい並びをしている。また、12月に入るとすぐふたご座流星群、年末年始にしぶんぎ座流星群と、流れ星と出会う機会も増えるようだ。近場の空で星を見るもよし、星空の名所へ行くもよし、たまには夜空をゆっくり見上げるひと時を持ちたいなと思う。夜になると「早く寝よう!」と子どもに促しがちだけど、しっかり防寒してたまには夜更かし。星を見るのもいいじゃないか。
参考
国立天文台|主な流星群の一覧 https://www.nao.ac.jp/astro/basic/major-meteor-shower.html
一般社団法人星空保護推進機構 https://hoshizorahogoku.org/
DarkSky International https://darksky.org/
「日本の星空ツーリズム」 縣秀彦 緑書房 2019
「まっぷる星と天体観測と旅の本」 井上健太郎編集 昭文社 2024
寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしています。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。