先日、善了寺の境内を保育園のちびっこちゃん達が先生に手を引かれてお散歩していました。ご挨拶をしたらこんな質問を受けました。
「アジサイがきれいですね。どうやったら同じ土から違う色のアジサイが咲くんですか」

これはアジサイの色が土の酸度で変わるというのを前提にした質問です。確かに境内のアジサイはいろんな色があります。同じ斜面でも、青、ピンク、紫、緑がかった白色のものがあります。株ごとに肥料を変えているとは聞いたことがありません。

私には適切な答えがわからず・・・お茶を濁してその場をやり過ごしてしまいました。あの時の保育士さんがこの記事を読んで下さるかはわかりませんが、この場を借りてご回答させて頂ければと思いつづっています。

アジサイの色が変わる理由

ピンクのアジサイをもらって挿し木をしたら、翌年には青い花が咲いたという話を聞いたことがあります。色の変化もアジサイの魅力のひとつではありますが、不思議ですよね。

ご存知の方も多いと思いますが、アジサイは根をおろした土壌の酸度に影響を受けて色が変わります。土壌が酸性よりだと青、アルカリ性よりだとピンクになります。土中のアルミニウムが酸性土壌に溶け出し、花に含まれるアントシアニンと化学反応をおこすと青になります。

ただ、アジサイにはいろいろな品種があります。土壌の影響を受けにくい品種や、アントシアニンを含まない品種もあります。そのような株は、もともと持っていた色が出現します。例えば、近年よくみかけるアナベルという白いアジサイは、アントシアニンを含みませんので、咲き始めは緑がかった色、そのあと白になり、青やピンクへの変化はありません。また、個体差もありますので、同じ品種でも、少しずつ色味の違うアジサイがつくということがおこります。

本堂横の斜面には、かつて門徒さん達が登って挿し木で増やしてくださったアジサイが所狭しと植わっています。品種はわかりませんが、一本一本に門徒さんのお気持ちが入っています。それが、境内のアジサイの個性になっているのかなと思います。

尚、便宜上「花」と表現しておりましたが、アジサイの花びらのように見える部分は装飾花といってガクが変化したものです。ガクの真ん中にあるぽちっとした部分は退化しているので種は実りません。
本当の花は中央に密集しているつぶつぶの部分についています。ガクアジサイだと見分けやすいですが、他のアジサイでも、真ん中辺りを掻き分けてみると雌しべと雄しべのついた小さな花が隠れています。

挿し木で始まったアジサイがしっかり根付き、こうやって季節の訪れをお知らせしてくれるのは本当に嬉しい事です。そして、アジサイから始まった小さな出会いと好奇心に感謝です。

 

 

寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。