桃栗三年柿八年は、本当か。

「どんなことをやるにも、成果を出すまでには時間がいるということ」
という意味で使われることわざです。

これは本当なのかなと思いまして…。

きっと種を蒔いてからの話だと思うんです。モモとクリは芽が出て3年目に、カキは8年目に実がなるんでしょうか。本当に?

◎モモ → 本当

モモは成長の早い木で、早くから実もたくさんなります。ただし、私たちが食べる品種のモモは、長い目でみた時、幼木のうちからたくさん実をならせると木にとって負担になるそうです。モモ農家さんは6~7年目まで木の成長をみながら実りを調整しているそうです。

◎クリ → 本当

クリも成長の早い木です。3年目までの幼木でも花が咲き結実することもあるとのこと。ただし、これまた農家さんにとって収穫に適したクリを育てるためには、接ぎ木で3年、種から5年と考えるそうです。

◎カキ → 本当、もっと早いことも!

カキもまた成長の早い木です。8年を待たずに収穫できることもあります。ただし、甘柿は劣性(潜性)遺伝なので、美味しく頂いた甘柿の種を植えてもほぼ渋柿になるそうです。受粉次第で甘柿になることもあるそうなので、その判別に昔の人は8年と長目に見積もっていたのかもしれませんね。

いずれも植物のことですから、生育環境や天候や施肥によって年数は前後すると思いますが、概ねことわざ通りということで良さそうです。昔の人は本当に経験からこのように言い伝えていたのですね。

 

◎桃栗三年柿八年、その先は・・・

このことわざについて、もうひとつ気になることと言えば続きの文句です。人によって言うことが違うと思っていたら、地方によって色々な言い方があるのだそうです。けれど、モモ、クリ、カキと違って、続きの年数は妥当ではないそうですよ。

ユズは9年でなりかねる
ユズは9年でなりさがる
ユズは9年の花盛り
ユズは遅くて13年
ユズの大馬鹿18年

ウメは酸いとて13年
ウメは酸い酸い18年(13年)

ナシはゆるゆる15年
ナシの馬鹿めは18年

ビワは9年でなりかねる
ビワは9年でなりかかる

リンゴにこにこ25年

これらが組み合わせられていることもあります。
「梅は酸い酸い十三年、梨はゆるゆる十五年、柚子の大馬鹿十八年、林檎にこにこ二十五年、銀杏きちがい三十年」

このうち私が覚えていたのは「ユズの大馬鹿18年」だけでした。以前ことわざの本で見たと思います。これは「二十四の瞳」の作者壺井栄が好んで使っていた言葉だそうです。小豆島にある文学碑にも刻まれているとのことでした。

果実をいただくのは一瞬ですが、美味しい果物を実らせるには時間がかかりますね。

 

参考
「ことわざ辞典」 時田昌瑞 株式会社アリス館 2003
「育てて遊ぼう モモの絵本」 山口正己編 農文協 2010

斎藤果樹園 https://www.akaimi.net/faq/104.html
ひがし美濃発 道中見聞食 栗全書 https://ne-koiki.jp/item/kurizensho/p04_17/p10.html
タキイネット通販 https://shop.takii.co.jp/simages/shop/selection/kuri1711.html
奈良新聞 「農を楽しむ『甘柿の種は甘柿か?』」 平成30年3月3日
同志社女子大学 教員によるコラム「『桃栗三年柿八年』の続き」 吉海直人(日本語日本文学科 教授) 2019/2/15
日本経済新聞電子版コラム「『桃栗三年、柿八年』に続くのは『ユズ9年』?」 川鍋直彦 2013/10/16

 

寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。