先日ラジオを聞いていたら柿の話をしていました。
世界の柿の生産量第1位は中国、第3位は韓国、では、第2位はどこでしょうか?と。
この話を聞いたとき、まず第一に柿って日本以外でも食べられているのかと思いました。さるかに合戦でカニが「はーやく芽を出せ、柿のタネ!」と言っている、あの柿です。日本昔話しかり、日本の里山の秋の風景にとても馴染んでいる柿です。肥料をやらずとも、剪定を疎かにしても、たいてい毎年実をつけるあの柿です。
日本原産では?と思いました。とはいえ、昔はいろいろと中国から渡ってきているので、多少妥協して東アジアならあるかな、と思いました。
ところが、世界の柿の生産量第2位は、スペインだったのです。
驚きです。まさかのヨーロッパ!!!
調べてみると、意外な国々で柿が生産されています。
2017年の世界の柿生産量 国別ランキング
第1位 中国 303万トン
第2位 スペイン 40万トン
第3位 韓国 30万トン
第4位 日本 23万トン
第5位 ブラジル 18万トン
第6位 アゼルバイジャン 15万トン
第7位 ウズベキスタン 9万トン
第8位 台湾 6万トン
第9位 イタリア 5万トン
第10位 イスラエル 3万トン
「世界の主要果実の生産概況 2020年版」 公益財団法人 中央果実協会
柿のルーツ
今私たちが食べている柿は、奈良時代を中心に中国から日本にやってきたようです。日本の気候に適していたため、青森から鹿児島までの広い地域で、それぞれの風土に適した多くの在来品種(地方品種)に発展しました。現在は1000をこえる品種が日本にあるといわれています。
また一方で、弥生時代の遺跡からも柿の仲間のタネが出土していることから、日本に柿の仲間の木が古くから生えていたことがわかっています。
世界に広まった柿
柿は学名にもKakiとついており、また英語で「kaki」ともよばれるように、日本の果実として名が通っているそうです。
アメリカ経由で世界へ
黒船でペリーが来航したときにカキを日本から持ち帰り、カリフォルニアとフロリダで栽培したんだ。やがて、アメリカから世界各地へと広まっていったよ。スペイン、イタリア、イスラエルなどもアメリカから伝わったんだ。でも、南米のインディアンは、カキのタネを砕いてパンにして食べていたともいわれているから、日本から伝わったカキとは別のカキが、もっと早い時代に新大陸にはあったんだね。
移民がつたえたカキ
ブラジルのカキは、むかし日本からの移民が持っていったものだ。現在でもあまガキ、しぶガキの両方が栽培されているよ。韓国のカキは、戦前に日本人が持っていった富有ガキを植えて、それがそのまま残っているんだ。いまは東南アジアや中国向けに輸入されて重要な産物になっているよ。
いまや、カキは世界のKAKI
ニュージーランドでも、1980年頃から日本向けのカキが栽培されていたけれど、温度の関係でしぶがぬけないので、いまではオーストラリアの方が盛んだ。南アフリカのカキはヨーロッパへ輸出されるよ。パリでもフランス料理の食材としてカキが使われたりしているんだ。いまでは、KAKIは世界中で楽しまれているフルーツなんだね。
欧米では柔らかい柿をスプーンですくって食べるのが主流だそうです。英語圏、フランス、ドイツでは「kaki」、スペインでは「caqui」。発音は日本語の「カキ」とほぼ同じです。日本語がそのまま通じるのは寿司くらいだと思っていたので、本当にびっくりでした。
参考文献
「そだててあそぼう カキの絵本」 松村博行編 2001 農文協
「ものと人間の文化史 柿」今井敬潤 2021 法政大学出版局
寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。