私が学生の頃、文房具屋さんで金魚柄のかわいい絵葉書を見つけて一目惚れしました。その絵葉書で友だちに暑中見舞いを書こうと思い、買って帰ったんです。ところが、家に帰って母に言われました。「もう残暑お見舞いよ」と。その時教えてもらい、初めて暑中見舞いと残暑見舞いの違いを知りました。
あれからだいぶ歳を重ねましたが、今年もまた、暑中見舞いと残暑見舞いの使い分けを迷っております。
皆さんは、暑中見舞いと残暑見舞いの違いをご存知ですか。

 

暑中見舞いのいつからいつまで

暑中見舞いは、二十四節季の「小暑」(七月七日頃)から「立秋」(八月八日頃)にかけて贈るのが通例で、立秋を過ぎたら「残暑見舞い」とします。

 

2023年の立秋は8月8日です。今すぐ出すなら、ぎりぎり暑中見舞いと書いていいのでしょうか。「暑中」とは夏の土用のことです。立秋前の18日間に届くように贈るのが正式な暑中見舞いだそうです。

暑中見舞いは、もともと「お盆の贈答の習慣が簡略化されたもの」なのだそうです。
今のように物流が発達していなかった頃、お盆の里帰りの際、ご先祖様にお供えするものを手土産としてもっていく習慣がありました。それがお世話になった方々への贈り物へと発展していきます。最初は直接訪問してご挨拶していたものが、次第に簡略化され、手紙で済ませるようになりました。
庶民が気軽に手紙を出せるようになったのは、日本で郵便制度が整ってからのことですから、明治時代以降の話でしょう。それ以前は飛脚ですからね。地方へ送ろうと思ったらお金がかかって大変です。

 

お中元のいつからいつまで

夏の贈り物というと、もうひとつお中元が思い浮かびます。取引先とお中元・お歳暮のやりとりを禁止している企業もあるので、一時より件数は減っていると思いますが、プライベートでは「お世話になった方」へと贈る習慣がまだ残っていますよね。

現在は、七月上旬から八月十五日ごろの時期に、お中元を贈るのが一般的ですが、七月十五日を過ぎた場合には、表書きを「お中元」とは書かずに「暑中見舞い」とします。八月八日の立秋過ぎの場合なら「残暑見舞い」と書くのが無難です。

 

言われてみれば、お中元にも「暑中見舞い」と書いてあるのを見たことがあります。お中元は地方によって贈る時期が異なるようですので、お送りする先によって確認が必要ではありますが、やはり立秋がひとつの節目のようです。

 

暦の上では秋が始まる「立秋」ですが、近年は10月頃まで25度を越える日がありますね。いつまで残暑が続くのやら…とため息が出ますが、夏の贈答品は8月末までにお届けするのが礼儀です。そこは体感温度ではなく、暦に準じるのがスマートですね。

 

参考
「日本人のしきたり」飯倉晴武 編著 青春出版社 2003
「美しい日本の習慣」 幸運社 編 PHP研究所 2008

 

寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。