二十四節季では立夏を過ぎ、暦の上では初夏を迎えました。
七十二候では「竹笋生(たけのこしょうず)」。筍が生える時期という意味です。

 

すでに旬の味、筍を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。一ヶ月以上前から市場に出回っていますね。ここ横浜の竹やぶでもにょきっと顔を出した筍をみかけました。三月頃から食べられるのは孟宗竹のものだそうです。真竹は六月頃まで収穫されます。

 

さて、筍の本体、竹をみて不思議に思ったことはないでしょうか。
この子は木なんだろうか?草なんだろうか?それとも別のなにか?

不思議な点

1.木のように高くなるのに、一定以上は太くならない。
2.木の年輪のようなものがない。中は空洞で節がある。
3.表皮は緑色で草のようにつるつるしている。でも冬になっても枯れない。
4.成長のスピードが木らしくない。雑草っぽい。
5.種ではなく根っこで増えて、群生している。

他にも気づくことがあるかもしれませんね。

どう思いますか?

 

 

タケはイネ科タケ亜科に属する常緑性の多年生植物です。日本に生育するタケ亜科(タケ類とササ類)の植物は約130種類、そのうちタケ類は種としては20種ほど、変種・品種なども含めると50種ほどではないかと言われています。タケには草のような特徴もあれば樹木のような特徴もあり、草とも木とも違う生態を持っています。

イネ科ということは、現在の植物学的な分類は草なんでしょうね。草のような特徴も、木のような特徴もあるというのが不思議なところです。

 

数十年から100年に一度の頻度でしか開花しないタケの開花の仕組みは、現在も謎に包まれています。モウソウチクのように開花した後に地下茎まで枯れるタケもありますが、ハチクのように地下茎は枯れないものもかなりあり、地上部分は枯死しても再び地下からタケノコが出てくるのだそうです。
モウソウチクは花が咲けば種(たね)をつくるのですが、花はめったに咲きません。日本に導入されて以来、全国的に開花したという記録はありません。ただ小さな株が開花した事例はいくつか報告されています。開花後、その株は死んでしまいましたが、種ができ、それが発芽して新しい株になったということです。
マダケとハチクの開花は120年周期といわれています。文献によると、マダケは1950年から1960年頃に全国的に開花しています。その開花後マダケの竹林が一斉に枯死したため竹材が不足し、プラスチック製品に置き換わったといわれています。マダケとハチクは開花しても種(たね)ができず、代わりにタケノコが伸びることで、竹林が再生されるのです。

 

開花周期が長いせいで、学術研究にも時間がかかるんですね。「竹取物語」にも出てくるほど、昔から私たちの生活に密着している竹が、まだまだ謎に満ちた植物であることが正直驚きですね。

 

参考文献

農林水産省 広報誌aff  2021年3月号