四規(しき)―和敬清寂(わけいせいじゃく)―

 

千利休とは、安土桃山時代の人で、現代茶道の様式の起源となる『侘び茶』を完成させた茶人であり、現在の茶道の原型を完成された方ですね。千利休の茶道に対する考えを端的に表した言葉ですが、お稽古事だけではなく、仕事面でも人間関係や普段の生活面に十分に通じるところだとおもいます。

  1. 」とは、お互いに心を開いて仲良くするということ
  2. けい」とは、お互いにうやまいあうと意味。また、自然や万物によって生かされていることに感謝し、敬う心で頂くということ
  3. せい」とは、きよらかという意味ですが、外見の清らかさではなく、心の中も清らかであるということ
  4. じゃく」とは、静かで何事にも乱されず動じない心で、何事にもゆとりを持ってやっていける心の大きいこと

―七則― 利休七則(りきゅうしちそく)

  このことばは、千利休せんのりきゅうがある弟子でしから「茶の湯とはどのようなものですか」とたずねられたときの答えでした。そのとき弟子でしは「それくらいのことなら私もよく知っています」といいますと、利休りきゅうは「もしこれができたら、私はあなたの弟子でしになりましょう」といったそうです。

「心をこめ、本質を見極め、季節感を大切にし、命を尊び、ゆとりを持ち、柔らかい心を持って互いに尊重しあう」

茶はふくのよきようにて ―心をこめる―

お抹茶1服2服と数えますので「ふくのよきように」というのは、「お茶は心をこめて、おいしく点てましょう」という意味です。抹茶の量や湯加減など客が飲みやすいように心を込めて点て、客は、その心に感謝していただくというお互いの心の交流を意味しています。

すみは湯のくように ―本質を見極みきわめる―

今は電気やガスで火加減を調整できますが、昔は、炭で湯を沸かしていましたね。客を招き茶を点てる頃にちょうど良い状態で湯がよくわくようにすみを置かなければなりません。本質をよく見極みきわめることが大切です。

花は野にあるように ―いのちをとうとぶ―

「花は自然に入れなさい」ということですが、一輪りんの花に、野に咲く花の美しさと自然から与えられたいのちの尊さを盛りこもうとすることに真の意味があります。

夏はすずしく、冬はあたたかに ―季節感きせつかんをもつ―

今では、1年を通して冷暖房設備で快適に過ごせますが、茶道では夏ならば床に「涼一味りょういちみ」などのことばをかけたり、冬ならば蒸したての温かいお菓子を出したり、道具の組み合わせなどを工夫して、涼しさや温かさを演出します。自然と仲良くし、季節の移ろいやその恵みに感謝するという心が大切だと教えてくれます。

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刻限こくげんは早めに ―心にゆとりを持つ―

「時間はゆとりを持って早めに」ということですが、ゆとりとは時間を尊重そんちょうすることです。約束の時間を守るだけでなく、時を大切にすることは、自分がゆったりした気持ちになるだけでなく、相手の時間を大切にすることにもなります。

らずとも雨の用意 ―やわらかい心を持つ―

何事にも準備を怠らないことの大切さ。様々なことを想定して準備万端にし、どんなときにも落ちついて行動できる心の準備と実際の用意をいつもすること。どんなときにも「適切てきせつに場に応じられる」自由で素直すなおな心を持つことが大切です。

相客あいきゃくに心せよ ―たがいに尊重そんちょうしあう―

「相客」というのは、いっしょに客になった人たちのことです。正客しょうきゃくの座にすわっている人も末客まっきゃくの席にいる人も、おたがいを尊重そんちょうしあい、楽しいひとときを過ごすようにしなさいと利休りきゅういています。

参照:裏千家ホームページhttps://www.urasenke.or.jp/textb/shiru/beginer/kokoro.html

文責:横浜 善了寺

坊守 成田美砂