こんにちは。

小豆島でも毎日暑い日が続いています。夕方5時を過ぎるとやっと涼しくなるので、最近の夕飯の時間にお弁当を持って砂浜や丘の上などに出かけることが多くなりました。

海面に映る夕焼けや、満天の星空、大きな満月を見ながら、夕涼みをして何とか過ごしています。

 

さて、都市部から縁もゆかりもない田舎へ移り住むにあたり、気になることのひとつに地元でのご近所付き合いがあると思います。

インターネットで[地方移住 ご近所付き合い]といったキーワードで検索すると、田舎では近所から農作物のおすそわけがある、顔の見える関係で安心感があるというポジティブな情報がある一方で、

人間関係が濃い、噂話がまわるのがはやい、若い人は力仕事に駆り出される、消防団や自治会への加入が必須で集まりが頻繁にある、どこに行っても知り合いに会う…というようなエピソードがたくさん出てきます。

あまりにもさんざんそんなことが書かれているので、私も移住前は必要以上に構えてしまったところがありました。

どうやら今までのご近所付き合いとは全く違う世界が待っている…そんなに社交的な性格ではないけれど、移住するからには地域に溶け込むために頑張って慣れないことも引き受けなければ…と。

実際移住してみてわかったこと

 

小豆島の小さな集落に家を借りることになったとき、 まず最初に不動産の仲介の方から促されたのは、やはり集落の方々への挨拶まわりでした。

自治会長さんをはじめキーパーソンとなる方々のお宅に個別に挨拶をし、 さらに引っ越し当日に近所の会館で行われていた、一年に一度の自治会総会にもバタバタと飛び入り参加して家族全員で自己紹介をしました。

そしてその様子は早速Facebookにアップされ、後日働き始めた職場の上司に、「Facebookの写真をみたから、引っ越してきたの知っていたよ~」と言われ、そのスピード感とネットワークに驚きました。

 

もうひとつ驚いたのは、引っ越し当日、引っ越し業者に混じってご近所の方々が率先して荷物を運んでくださったことです。

小さな子供を二人抱えて身動きがとれない私の横で、体格のいい引っ越し業者のお兄さんたちに混ざり、70代くらいの健脚なマダムたちがいつの間にかバケツリレーのように衣装ケースをどんどん家のなかに運びいれてくれていました。これにはかなりビックリしました。

 

さらに、近所の家に直接ご挨拶に伺ったときは、インターホンがない家が多いことにも驚きました。勝手に扉をあける訳にもいかず、あれ?どういうこと?と玄関前でウロウロしてしまいましたが、

そこはもうどうどうと扉を開けつつ、こんにちはー!○○ですー!と声をはりあげるのが正解なのでした。皆それで当たり前のようにはーいと返事をして奥から出てきてくれます。

都市部では変な勧誘も多いのでインターホンが鳴ってもむやみに出たりしませんでしたし、表札も出さず、アパートに警察官が見回りに来て、近所で窃盗事件が発生しているからどんなに少しの時間でも油断しないで施錠してと言われたこともありました。

 

そんな環境とは大違いの、人と人の距離が近く、[うち]と[そと]の境界線があいまいであることにはじめはビックリしました。しかしこれも慣れで、今ではインターホンの有無に関係なく用事があるときは玄関から直接声をかけるようになりました。

そしていつでも誰かが何となく外にいて世間話をしているので、不審者がいたらすぐにわかる体制が自然とできているようです。

意外と、怖いのは不審者などの人間ではなく、夜に出没するイノシシだったりします…。

 

こんなふうに引っ越し当初はびっくりの連続でしたし、噂話がまわるのが早いことも、どこに行っても知り合いに会うことも本当でしたが

ご近所付き合い全般において、何て親切な!という驚きのほうが、わずらわしさよりも勝っているように思います。

 

過疎化、高齢化の進む土地に若い移住者が入ってくることには地元の方々にとっても嬉しいことも多いようで、この集落に子どもの声が戻ってきてうれしい、と子どもの成長を共に喜んでくれたり、便利なところからわざわざこの島を気に入って来てくれてうれしい、と言われたりします。

この二年の間にも、コロナにより観光産業が大きなダメージを受け、島の主要な航路がひとつ停止することになり、次第に地元の方々といっしょに、住んでいる立場からこの島の栄枯盛衰の波を実感するようになりました。

そんななか、私たちのあとからも一組、また一組と都市部からIターン移住してくる家族が居ます。

子供のクラスメイトが増えたり、小さなお店が新しくオープンしたりという良い変化があり、やはり移住者が増えることは希望の光だなと感じています。

そしてそれを歓迎し応援してくれる地元の方々の懐の深さを感じます。

 

Iターン移住におけるご近所付き合いは、地域に馴染むための努力をしつつ、

気負い過ぎずに自分なりの境界線を決めて、長く心地よい関係をつくっていくことが大切だなと思っています。