こんにちは。

私は2019年4月から瀬戸内海の離島、小豆島で暮らしています。夫と子ども2人と横浜から移住してきました。ここでは島暮らしの日々をお届けします。

今回は、「小豆島てくてくさんぽ」と称して、小豆島の魅力的なスポット、エンジェルロードをご紹介します。

エンジェルロードって?

小豆島で一番船の便数が多い土庄港にほど近い場所に、人気の観光スポット「エンジェルロード」があります。

エンジェルロードは1日2回、干潮時に海の中から現れる砂の道。大切な人と手をつないでわたると願いがかなうというロマンチックな場所です。(うどん県旅ネット 観光サイトより引用)

このような地形を、「陸繋島(りくけいとう);タイダルアイランド」といいます。

 

 

海外だとフランスのモン・サン・ミシェルが有名です。関東の方に馴染みが深い場所としては、湘南藤沢にある江ノ島もこの陸繋島にあたります。その神秘的な地形から、信仰の対象となることも多いようです。

 

私は横浜出身なので江ノ島も子供時代から何度も行っていますが、いつも弁天橋という大きなコンクリートの橋を通って行くので、江ノ島がときに地続きになるという記憶はありませんでした。

この絵は日本で最初の洋画家、高橋由一によるものです。

香川県琴平にある金刀比羅宮の高橋由一館でこの絵を見たときも、「あれっ江ノ島って歩いて渡れたの?」と不思議に思っていました。どうやら、昔は干潮のときは常に歩いてわたれていたようです。いまは時代とともに地形の条件が変化し、大潮と干潮が重なった日の前後1時間のみに道が現れる、レアな風景になっているようでした。

小豆島のエンジェルロードは、それに比べると1日2回6時間ずつ出現するので、比較的遭遇しやすいと言えます。梅雨のあいまの晴れた日に行って撮影しました。

 

道がじょじょに消えていく時間帯になると、すこしずつ波が両側からおしよせていきます。ゆっくりゆっくりと変化していく道の様子もとても神秘的でした。

 

満潮近くなると、向こうに見えている島にわたることはできません。道はどんどん波のしたに隠れていきます。

 

エンジェルロードという名前から、はかない道が幻のように現れるような印象を持ちますが、

干潮時に実際に降りたってみると、たくましく砂が盛り上がり、とってもどっしりとした道(というか広場)が現れます。大人数でビーチバレー大会でもできちゃいそうなくらいの安定感!

 

今回、干潮時・満潮時・その中間と、実際に何度か時間を変えて足を運んでみました。

その結果、この場所がもっとも美しさを増すのは、意外にも「干潮と満潮のあいだ」にあるのでは!?という発見がありました。

なぜなら、その波の軌跡がとても美しかったから。

正面の島から続く砂州に阻まれながら、左右から押し寄せ交差する波は、たがいにレースカーテンのような繊細な模様を描き、重なりあい、消えていきます。

波の音も、波の軌跡も、両側から交互におしよせる。こんな風景は今まで体験したことがなく、いつまでもこの場所に留まって心ゆくまで味わいたい美しさでした。

道が現れるまでは訪れる人もすくなく、無人のときもあるので、ゆっくり好きな場所で景色を眺められるのもポイントです。

展望台からは、海が一望できます。空と海のいろは季節や天気によりどんどん変わるので、瀬戸内の景色との一期一会の出会いがあります。

 

港ちかくの観光スポットなので、さっと寄れてすぐに帰られる方がほとんどですが、

道があるときもないときも、刻々と変化していく様子を眺めながらゆっくりと過ごすのが

最高の旅の思い出になるのでは、と思います。小豆島に来られた際は、ぜひお立ち寄りください。

 

 

参考:

エンジェルロード うどん県旅ネット

陸繋島(wikipedia )

高橋由一「江ノ島図」(パブリックドメイン美術館)

エンジェルロード潮見表(四国フェリーグループ)

 

書き手・イラスト・写真 :

喰代彩 (ほおじろあや)

横浜市出身、善了寺のデイサービス「還る家ともに」で介護士として働いていました。現在は小豆島にIターン移住して四年目、二児を育てながら島の暮らしと、善了寺デイサービスの思い出について書いています。(「瀬戸内 島暮らし」、「ばあちゃんたちのいるところ」として連載中)