ばあちゃんたちのいるところ その3・人生の宝箱の巻
ばあちゃんたちのいるところには、もちろんじいちゃんもいます。
割合は7:3くらいで常にばあちゃんのほうが多いけれど、じいちゃんたちと紡いだ思い出もたくさんありました。
タケオさんは昭和30年前後に大船松竹撮影所で働いていた方でした。
親戚のおじさんに誘われて飛び込んだ映画現場の裏方の世界。
当時の大船撮影所では、木下恵介監督、小林正樹監督、俳優の仲代達矢、岸恵子、有馬稲子などの大スターが居て、日々映画作品が作られていました。
若きタケオ青年は日々力仕事に駆り出されながら、きらびやかな表舞台にたつ大スターの方々を間近で見ていたようで、当時の思い出話は50年経っても色褪せずにキラキラと輝いていました。若い頃からの肉体労働により、腰を悪くしてゆっくりしか動けないタケオさんでしたが、人柄はおだやかでいつも笑顔で、とても優しかったことが印象に残っています。
人の一生って案外長いし、その間にはいろんなことがある、そしてすてきな思い出はずっとその人の晩年まで輝くものなんだ、と思いながら毎回楽しく話を聞いていました。
自分が晩年になってそっとあけた人生の宝箱には、どんな思い出が入っているのだろう。と思いながら、善了寺デイサービスで過ごした時間のなかでじいちゃんばあちゃんたちに見せてもらったそれぞれの宝箱のすてきななかみについても、またこの場所で少しずつシェアしていきたいと思います。
それでは、また次回。お読みいただきありがとうございました。
この漫画の書き手:
喰代彩 (ほおじろあや)
横浜市出身、善了寺のデイサービス「還る家ともに」で介護士として働いていました。
現在は香川県・小豆島にIターン移住して三年目、二児を育てながら島の暮らしと
善了寺デイサービスの思い出について書いています。