- 人・暮らし
- 2015年11月28日
それって本当に必要!? 加熱する消費社会に「無買デー」が問いかけること
1年に1度、生活に本当に必要なもの以外は買わずに過ごしてみようという「無買デー(Buy Nothing Day)」。次から次へとモノを生産し、大量に消費していく社会を見直すムーブメントです。今回は、この無買デーについて国内外の事例を交えながらご紹介します。
カナダで始まったエコムーブメント
「無買デー」のそもそものはじまりは、今からさかのぼること20数年前の1992年。カナダ・バンクーバーのアーティストであるテッド・デイヴらが発案し、地元の非営利団体が発行する雑誌「アドバスターズ」が推進して始まりました。
「無くていいもの買わない日」というキャッチコピーを掲げたこのイベントは、消費社会へ静かな抗議を投げかけ、支持層を徐々に拡大。現在では世界64カ国、150万人以上が参加する国際的なイベントになっています。日本には1999年に上陸し、翌2000年に「無買デージャパン・ネットワーク」という組織が設立されました。
あえて消費が過熱する時期に!
「無買デー」で注目したい点はその開催日! 北米やアジア諸国では、感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日で、ヨーロッパや日本では11月最後の土曜日です。そう、感謝祭明けのお祭りモードと、翌月に控えたクリスマスの影響で、小売業の売り上げが1年で最も高いころ。消費が過熱するその時期にあえて「無買デー」を開催し、消費社会の中でシンプルライフの重要性を人々に改めて訴えかけているのです。
ゆるやかに広がる消費社会への提言
組織だったムーブメントではなく、さまざまなバックグラウンドを持つ活動家や支援団体らの“ゆるやかなネットワーク”によって広がる「無買デー」。ユニークなパフォーマンススタイルが、度々話題になります。
古都京都で禅を組むサンタクロース
日本の「無買デー」といえば、サンタクロースの衣装で座禅を組む「禅タクロース」。1999年、京都に留学していたオーストリア人のガブリエレ・ハードさんが、ゴミ置き場捨てられたサンタクロースの衣装にインスピレーションを得て始まりました。
買い物に奔走する人々で賑わう繁華街。そこで、「使い捨てのシンボル」ともとれるサンタクロースの衣装を着て禅を組み、人々に対して「消費とは何なのか」と静かに訴えかけます。前述の雑誌「アドバスターズ」でも取り上げられ、「禅タクロース」は瞬く間に世界中へと拡散。毎年、世界のどこかの街角で、「禅タクロース」が静かに瞑想をしています。
「Black Friday」にデモ行進
アメリカ合衆国では、感謝祭の翌日は俗に「Black Friday」と呼ばれ、休暇前の買出しをする習慣があります。感謝祭は友達や家族で集まり、食事をしながら家族愛や友情を確かめ合う大切な祝日ですが、ここ近年は企業による宣伝効果もあってか、感謝祭の後は多額の買い物をする流れができあがっています。その「Black Friday」に、無買デーのデモ行進が行われます。
ほかにも、物々交換するマーケットや何も売らない店が出現したり、空っぽのショッピングカートで巨大なスーパーの中をいつまでも歩き続けたりするユニークなパフォーマンスも行なわれます。
持続可能な社会を目指して
現在、地球の人口は70億人超。人類がこのままのペースで消費を続けると、地球環境が永続不可能になるのはそう遠くないかもしれません。来る無買デーに、いま手にしているモノが本当に必要なものかどうかを考え、モノを買わなくても楽しく過ごせるということを再確認してみてはいかがでしょう。シンプルライフの中に、きっと本当の豊かさを見直すことができることでしょう。
参考: