- 文化・アート
- 2015年7月29日
美しく見せるだけでなく、健康づくりにも役立つ!現代の着物生活のすすめ
古来より日本人に愛され続けてきた着物。日本の伝統的な文化として普段から着用する人もいますが、全体から見るとやはり少数派。着るのは成人式や結婚式くらいという人も多いのではないでしょうか。実はこの着物、見た目の美しさだけではなく、健康づくりにも効果があるとして注目を集めています。着ているだけで効果のある、着物のパワーについてご紹介しましょう。
着ているだけで背骨や骨盤を矯正! 肩こりや冷え性の改善にも
整体やマッサージなどの治療を受けにいくと、必ず言われるのが「姿勢」のこと。姿勢が歪んでしまうと内蔵や骨、筋肉などに負担がかかります。特に、背骨や骨盤のまわりにはたくさんの神経や筋肉、血管があり、姿勢のゆがみはそのまま血流やリンパの流れを妨げる原因となります。こうしたトラブルは、肩こりや冷え性など、体に悪影響をもたらしてしまうのです。
できることなら姿勢を正し、健康な毎日を送りたいもの。しかし、台所に立ったり、机の上で書き物などちょっとした作業をしたりしているうちに、だんだんと背中が曲がっていき、猫背がクセになっている人も多いのではないでしょうか。
着物には、こうした姿勢の乱れを正す効果があるとされています。着物を着るときには必ず帯を締めますが、この帯をしっかり締めることで背骨が支えられ、背筋を伸ばしてくれます。さらに、襦袢を着るときの腰紐には、骨盤を正しい位置に戻してくれる作用があり、着ているだけで骨盤の矯正にも。
なかには帯を締めると苦しいという人もいるかもしれませんが、もともとは下腹部を締めつけるのではなく、腰のすぐ上で締めるのが、正しい着方です。正しい位置で締めれば腰が安定して、苦しさを感じることもありません。また、着物は猫背のまま着ても見栄えがしないもの。着物を着ることで気持ちが引きしまり、背筋を伸ばそうとする、気持ちの面からの効果も期待できるのです。
日常生活に着物を取り入れるコツは?
健康にいいことが分かっても、着物を日常的に着るのは難しいと感じている人もいるかもしれません。しかし、「手入れが大変そう」というイメージの強い着物も、工夫次第では十分に普段着として活躍させることができるのです。以下に、そのためのコツをご説明しましょう。
1. 日常的に着るなら「普段着」を選ぶ
着物はもともと、結婚式やお茶会など正式な場で着るための「正装」と、ちょっとしたお出かけのときにも着ることができる「普段着」とに分かれています。留袖や振袖、訪問着といった正装は着付けも難しく高価なので、「汚してしまわないか」とついつい気になってしまいます。日常的に着るのであれば、小紋や紬といった「普段着」がいいでしょう。もちろん、夏祭りや盆踊りなどで定番の浴衣も立派な着物のひとつです。
2. 素材は木綿やウールなど、自宅で手入れしやすい素材を
格式の高い場で着る「正装」は絹で作られているのが一般的ですが、自宅で洗うことは難しく、かといって着るたびにクリーニングに出すのも難しいものです。日常的に着るのであれば、木綿やウールなど自宅でも手入れしやすい素材のものを選ぶといいでしょう。また、最近ではポリエステルなど化学繊維素材の着物も登場しています。自然素材のものと比べると着心地は少し異なりますが、まずは気軽に着ることのできる化学繊維の着物を試してみるのもいいかもしれません。
3. 形式にこだわらず、自分のスタイルを見つけて
襟元を整える半衿や、帯のしわをなくす帯板など、着物にはさまざまな小物があります。「正装」の場合はこうした小物もきちんと身につける必要がありますが、日常的に着るものであれば、省略しても問題ないでしょう。
着物はしっかりと着付けるものというイメージを持たれがちですが、江戸時代の町人たちは、帯の結び方を工夫したり、普段着用の黒衿を外出着につけたりして、ささやかなお洒落を楽しんでいました。贅沢を禁止する倹約令が出たときには、着物の表地は地味なものに仕立て、裏地に凝ってお洒落することが流行ったほどです。
このように、形式にとらわれず楽しめる自由さも着物の魅力。あなたも自分のスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。
日本の伝統文化「着物」にはメリットがたくさん
背骨や骨盤は体を支える土台とも言えるもの。体のゆがみが矯正されることで、自身を美しく見せるだけでなく、健康づくりにも大きな効果が期待できます。日本の伝統的な暮らしの中で受け継がれてきたこの着物を、現代の生活の中にも取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考: