先日、東京工業大学の中島岳志先生と若松栄輔先生が、「いのちの政治学~コロナ後の世界を考える『今、リーダーに必要なこととは?』」というテーマで対談されている記事を読みました(「情報・知識&オピニオン imidas」というサイトです)。

その中で、若松先生は、

未来に向かって何かをやるときには、そうして歴史と深くつながることが不可避だと思います。現在の知恵だけで、未来に足を進めようとするのは、とても危険です。

とおっしゃっていました。

今を生き抜く大切なコトバだと思います。その上で、「油断」というコトバを取り上げたいと思います。歴史と深くつながるコトバです。

比叡山延暦寺 不滅の法灯

788年伝教大師最澄さまが比叡山の山中に、お寺を建てられて、灯された燈明(法燈)は、1200年以上の時を超えて、途絶えることなく今も燃え続けています。私も、何度もお参りさせて頂いておりますが、その事実に圧倒されます。(信長の焼き討ちの時は、平安時代から分灯されていた東北のお寺の灯火を持ち帰ってつないでいるそうです)

灯火は、日々新しい油をそそぐことで、灯り続けます。毎朝夕に注ぎ足されるそうです。「油断」とは、まさに油が断たれる状態を表します。書いていて、身が引きしまる思いです。1200年以上のいのちの絆が断たれてしまうということです。

コロナ禍の中で、歴史と深くつながる時、「油断」は、いのちのコトバでした。単なるスローガンではないのです。私のいのちにつながるコトバと出遇うことが、コロナ禍を超えていく道になると思います。