世情不安の中、心からお見舞い申し上げます。
素晴らしい出来事がありました。日頃からお世話になっている「NGOナマケモノ倶楽部」と「(有)ゆっくり堂」のご尽力によって、先日他の記事で引用させて頂いた「平和フォーラム2009『おかげさまからつなげる世界』」の動画が、素晴らしい編集のもと、一般公開されました。ナマケモノ倶楽部世話人の辻信一先生、ゆっくり堂社長の中村隆市さんに、心から感謝申し上げます。
この新型コロナウィルスによる世情不安の中、一つの「仕合わせのかたち」が生まれたと思います。昔はしあわせを「仕合わせ」と表現していました。仕事と仕事をあわせて、仕合わせでした。仕事は、すべてのいのちのしあわせのために、神仏に仕えること。それが、仕事の原点でした。なんのために仕事をしているのか。不安の中で、今も仕事をされている多くの皆さんに伝えたいメッセージが、サティシュ・クマールさんの言葉の中にたくさん生きています。その言葉を、今回、一般に公開してくださいました。今の「この時」だからこそ、本当に素晴らしい仕事だと思います。
そして、辻先生は、公開にあわせて、改めて、翻訳を見直してくださり、サティシュさんからのメッセージをテキストにしてくださいました。そのテキストを紹介させていただきます。
サティシュ・クマールさんからのメッセージ
何も恐れることはありません まずは大地とつながり直すこと
私たちは世界のリーダーたちに「平和を作ってほしい」と要請します。オバマ大統領にも、中国の指導者たちにも、「どうか平和をもたらしてほしい」と。しかし、ブッダはみなさんに問いかけます。「あなたは平和ですか?」と。もしもあなたが平和でなければ、どうして他の人に平和を期待することができるでしょう。
現代世界は恐怖に満ち満ちています。世界の平和に向けての第一歩は、その恐怖を越えること。私たちの心の中に「Seeds of Trust信頼の種」をまくことです。
あなた自身を信じて下さい。そしてこの宇宙を信じて下さい。「All shall be well全てはきっとうまくいく」と。何も恐れる必要はありません。なぜなら、世界は私たちを養うために全力をあげて働いてくれているからです。太陽は私たちを暖めるために輝き続けている。大地は穀物や果物、野菜や花を毎日与え続けてくれている。だから、まずこの大地としっかりとつながり直すことです。自分自身の心の平和のためには、この大地との仲直りが必要なのです。もしも、その代わりに、私たちが自然を、大地を支配し続けようとするならば、世界平和はありません。
対自然戦争の勝利は、同時に私たちの敗北です
しかし現実はどうか。まるで人類が自然界を相手に戦争をしているかのようです。雨をもたらす森林を破壊し、海の生きものを過剰に捕り続け、川を汚染し続けている。農薬、化学肥料などの毒を大地に注ぎ続け、動物たちを檻の中に押し込んで、むごたらしい目に合わせる。こんなふうに自然界を痛めつけておいて、世界が平和でありうると思いますか?
自然は、ただ単に環境として私たちの外にあるもの、山や森や川や生きものなどの集まりではありません。私たち自身もまた大自然なのです。だから、私たちがもし、この自然との戦争に勝利したとすれば、それは、同時に私たちの敗北なのです。
インドでは「全世界の生きとし生けるものは一つの家族」という言い方をします。空を飛ぶ鳥たちは私たちの兄弟姉妹。森の生き物たちも、木々や草花もまた私たちの兄弟姉妹です。宇宙の全ては互いに切り離し難くつながり合っています。そして私たち人類の存在はこの大自然に完璧に依存しているのです。
あなたがピースメーカーです
この「つながり」という根本的な原理を忘れたがために、私たちは今、様々な大問題を抱え込んでしまいました。地球温暖化や気候変動のような深刻な危機もまた、自然とのつながりが断たれてしまったことの結果です。
自分自身との関係における平和、自然界との平和を取り戻すことによって、私たちは世界に平和をもたらすことができるでしょう。一つのやり方を世界に押し付ける必要はありません。世界にはたくさんの宗教が、政治体制が、民族が、文化が共存することができるのです。
この平和は、しかし、国の議会や世界の指導者たちが上からもたらしてくれるものではありません。下から、本当のリーダーである私たち民衆からつくり上げるものです。それが私たち一人ひとりの責任です。みんながリーダーです。誰もがリーダーとしての資質をもつ存在なのです。
リーダーとして共に、世界を平和へと導こうではありませんか。
ぜひ動画もご覧ください
住職から、お願いしたいのは、動画もご覧いただきたいということです(下のリンクからご覧ください)。サティシュさんの息づかい表情そして、その言葉に出遇って頂きたいのです。そして、再び辻先生のテキストをじっくり読んで頂き、今この時期に辻先生が翻訳されたその思いも感じて頂けたらと思います。
また、動画は、築地本願寺のご本堂が会場です。ご本尊阿弥陀如来様の前で、行われています。この時、私は、スタッフの一人でした。通常は、閉扉といって正面の扉を閉めて、ご本尊を隠してイベントを行います。そこを、閉めないで講演ができないかとお願いしたことを覚えています。仏さまもご一緒に写っています。有り難いです。慈悲・慈愛という言葉を大切なメッセージとして語ってくださいますが、阿弥陀如来様とともに聞いて頂きたいと思います。
最後に改めて、ナマケモノ倶楽部のみなさん、ゆっくり堂のみなさんに心から感謝申し上げます。では、ナマケモノ倶楽部HPから、ごゆっくりお楽しみください。
ナマケモノ倶楽部HP「サティシュからのメッセージ:『恐怖と平和』について」
※辻信一先生のテキストは①として講演部分を先行して公開しています。近日中に②をアップいたします。