日に日に暖かくなり、冬物のコートをクリーニングに出したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

先日『グローバリゼーションの中の江戸』(岩波ジュニア新書)という本を読みました。その中に、江戸時代の洗濯事情についても書かれていて、「なるほど!」と感じたことがあり、筆をとりました。

江戸の着物の一生

江戸時代には、もちろんクリーニング店なるものはありません。

着物の洗濯は、「洗い張り」をしたそうです。「洗い張り」とは、着物をほどいて、何枚もの長方形にしてから洗い、板に張って乾かし、そのあとまた縫い合わせるというのです。これを、自分でやっていたというのだから驚きです。

そして、生地が傷んだときは、そこを繕ったり、ほどいて切り子どものために小さな着物に仕立て直したそうです。さらに傷んだら、また切って、布団皮や風呂敷、敷物、袋物、雑巾やおしめにして利用したそうです。

どうにも使えないほどボロボロになったら、かまどに入れて燃やし燃料として役立て、その灰を清掃や染め物、肥料にするというのです。そして、土に戻り植物の栄養にしたというのです。

「モッタイナイ」とは

田中優子さんは、この著書の中で「『モッタイナイ』は、物の持っている能力を充分に使いこなしていない時に使う言葉です。江戸時代が今の地球に向けて投げかけている言葉です」と述べられています。

モノの片付けや整理をする際、また新たにモノを買う際に思い出したい言葉です。

 

文:横浜戸塚・善了寺 坊守(※)
※「ぼうもり」と読みます。住職の連れあいです。
鎌倉時代から大切にされてきた言葉なんですよ。
時々つぶやきますので、優しくお付き合いください。

 

■参考文献

『グローバリゼーションの中の江戸』 田中優子著 岩波書店