「物を大事にする」……そんな文化が庶民に根付いていた江戸時代。江戸では「持ちすぎない」暮らしが支持され、特に庶民の間では着物は新調するものではなく、お古を買って、長く着る工夫をしていたそうです。これは現代のリサイクル・リメイクのコンセプトに似ていますよね。そこで今回は江戸時代になされていた再利用に関する工夫を振り返り、現代でも活かせることとは何かを考えてみましょう。

江戸の物を大事にする暮らしとは?

江戸時代の庶民の生活は、小さな家屋の中で必要最低限のものを揃えて生活する、「持ちすぎない暮らし」が支持されていました。「贅沢は悪い」というイメージもあり、例えば着物は代々親から子へと受け継ぎ、すり切れてきたら、今度は小物に作りかえるといった工夫をして、長きに渡って大事に使っていくものでした。

そのほかにも、破れてしまった番傘は、その紙を荷物の包み紙として再利用していたそうです。番傘に使われる紙は防水のために油を染み込ませてあるため、味噌屋などで重宝されていたそうです。入手した紙を洗った後は、その紙に味噌を包んでお客へ。そしてお客はその紙を繰り返し使って、味噌を購入していたそうです。そのままでは使えなくなってしまった物でも、ひと手間加えて再利用することが生活の知恵として定着していたのですね。

「再利用」を気軽に楽しめるリメイクが人気

現代の社会にも「リサイクル」「リユース」「リデュース」という循環の考え方があります。「リサイクル」というと、ゴミ処理を効率よく行うために「やらなければならないこと」といった捉え方をするかもしれませんが、一度ゴミとなってしまったものを再利用・再活用する……というリメイクの形ならば、個人でも気軽にでき、より楽しめるのではないでしょうか。

こういったリメイクの例として挙げられるのは:

  • 使い古したタオルを細かく切ってウエスにする
  • 着古したTシャツを編んで室内用のわらじ・スリッパ代わりにしたりラグマットにしたりする

などがあります。ちょっとしたアイディアや工夫次第で、必要でなくなったものや、使えなくなってしまったものを、さまざまなものに作り替えることができます。最近では特に、着古したTシャツを「Tシャツヤーン」に生まれ変わらせ、それを使って作り上げる小物が、カラフルでオシャレだと人気を呼んでいます。次の項では、その作り方を紹介してみましょう。

Tシャツヤーンでつくるラグの作り方

Tシャツヤーンというのは、Tシャツをハサミで紐状に切ったものです。切った紐を編み糸のように使って、バッグや小物雑貨、アクセサリーやラグなど、さまざまな物へと生まれ変わらせることができます。自分好みの色のTシャツに穴が開いてしまったり、子供が成長して着られなくなってしまったりした時には、ぜひヤーンにしてリメイクに挑戦してみましょう。今回は三つ編みができれば簡単に作れてしまう、ラグ作りの方法をご紹介します。

  1. それぞれのTシャツの胴体部分を各5センチ幅程度に切って、紐状にしヤーンを作る。
  2. 3本のヤーンの先端を結び、その部分をテーブルにテープで固定して、三つ編みを作っていく。
  3. 三つ編みがある程度できたら、最初の先端を真ん中にして渦巻き状にする。渦巻きが好みの大きさになるまで、三つ編みを続ける。
  4. 好みの大きさになったら、三つ編みの網目にヤーンを通して、三つ編み同士をつなげていく。この時、外側から中心に向けて順にヤーンを通し、また逆の外側へと通すように注意する。数方向からこの作業を行うと、しっかりとしたラグができる。

柔らかい生地のTシャツヤーンで作ったカラフルなラグは、インテリアのアクセントとしても、実用的なアイテムとしても大活躍です。最初は植物の下に敷くコースターなど小さなものから始めて、どんどん大きなサイズに挑戦していくのも楽しそうです。

まとめ

江戸時代にはすでに、当たり前に存在していた再利用という考え方。現代の生活の中でも、工夫次第でできることは沢山ありますよね。まずは身近なリメイクから楽しみ、物を大切にする暮らしを考えるきっかけにしてみましょう。リサイクルは「しなければならないもの」ではなく「したいもの」。そんな気持ちになれたら素敵ですね。

参考: