若年性認知症という病気って???

若年性認知症とは、40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称で、令和2年の有病率は2000人に1人と言われています。認知症を引き起こしている原因はアルツハイマー病や頭部外傷・神経系の変性疾患等で、脳細胞の死滅により、知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解等の高次な機能に障害が生じ、日常生活全般に支障が出てくるようになります。

働き盛りのお父さんをはじめ、活動が盛んな若い世代のため、診断を受けると大きなショックが伴い「早期絶望」とも言われるほどです。「信じられない」「認めたくない」という気持ちから、疑われる症状が出始めてから診断を受けるに至るまでに時間がかかるという特徴があります。また、認知症の診断を受けてからも、介護保険等のサービスを受け始めるまでにも時間がかかります。

横浜の若年性認知症の患者数

横浜市の人口が約377万人ですので、その人口に有病率0.0005%を掛けると1,885人(推定)となります。2000人に1人と聞くと少ない割合に感じますが、1,885人と聞くと決して少なくない人数です。

若年性認知症の方の支援体制

診断後、介護保険の各種サービスが利用できるようになっても、高齢者向けのデイサービス等は利用者の年代の違いから利用がためらわれがちです。また、老齢期の認知症より患者が少ないため、問題を共有できる身近な相手が見つからず、家族内で悩みを抱え込んでしまいがちな事も問題点として挙げられます。そのため横浜市では、専門機関と連携し必要な助言を行う若年性認知症支援コーディネーターの配置や、本人同士・家族同士が気持ちの交流をしたり情報交換が出来る交流の場、利用できるサービスや支援制度を掲載した支援者用ツールなどの支援体制が設けられています。

横浜唯一の若年性認知症支援デイサービス

様々な支援があるなか、その支援は‘初期’‘中期’‘後期’と分断されがちなところがあります。そのため‘初期から後期まで’継続しながら、若年性認知症の患者さんに寄り添い、症状の進行抑制や緩和を目指しているGrASP-aoba/GrASP-asahiという若年性認知症に特化したデイサービスがあります。若年性認知症のデイサービスは横浜で唯一、全国的に見てもおそらく稀有な存在だと思います。

先日そのデイサービスGrASP-aobaに伺うことがありました。利用者の年齢的な幅が広く、50代前後の利用者も多いため、誰が職員で誰が利用者なのか中々分かりませんでした。また、若年性認知症デイサービスはGrASPしかないため、区を超えて通っている方もいらっしゃいました。利用されている方の過ごし方もそれぞれで、読書や体操に散歩、初期認知症の方は提携しているお弁当屋さんから委託されたお弁当の配達・洗浄などをされていました。

まとめ

まだまだ社会的認知の低い若年性認知症。‘若年性’というその性質から、まだまだ支援体制や地域の中での居場所が限られているように感じました。今後、支援体制の拡大や地域の中での居場所が増えることで、若年性認知症になっても`あたりまえの生活‘が継続できる環境がつくられていくことを願っています。

文責:三根 周(みねあまね)善了寺デイサービス還る家ともに 所長