親鸞聖人報恩講・
第16世恵門住職祥月命日法要
能登半島地震の復興チャリティが行われました。

10月7日8日とあいにくの雨でしたが、鎌倉組僧侶の皆様、多くのご門徒や地域の方々にお参りいただきました。
(以下YouTubeにて、ご法要の様子をご覧ください)

能登から自らも被災されながら炊き出しをされているミシュラン一つ星のシェフ、輪島市在住の日本料理富成の冨成義明さんと炊き出しのチームの三人の方たちがいらして下さいました。冨成さんは、地震後、東陽中学校・輪島中学校で多い時は400人程の炊き出しを7月まで続けて来られましたが、その後、豪雨による川の氾濫で支えられてきた地域がまた被災し、この9月に炊き出しを再開されています。地震直後、炊き出しが始まる前まで、避難所では国から、コンビニにあるようなおにぎりと菓子パンが配布されていました。三食それだけの食事が毎日続いたそうです。そんな中で自分に何ができるか。と炊き出しに入ることを決意されたそうです。ご自身の日本料理のお店もすべての食器が割れた状態もそのままに、水道も出ない学校の図工室にプロパンガスを引き込んで開始されました。冨成さんからは現地の厳しい状況と炊き出しへの思いが詰まったお話しを伺いました。ご住職との対談からは、私たちの日々の食に繋がる『食べる』ことへの大切さに気付かされました。冨成さんが初めて炊き出しに入られ、温かいご飯を作られた時、避難所の皆さんは涙されたそうです。おにぎり、菓子パンのただ、食べていればいいだろうではないという事、温かい食事が人を元気づけ、生きよう、立ち直ろうとする気持ちに繋がっていくことを感じさせて下さるお話しでした。冨成さんはなるべく、お母さんが家庭で作るような味付けを心がけているそうです。日本料理を手掛けてきた冨成さん、高級な料亭のような味付けで作ることもできるんでしょうが、そうではなく、お母さんのような味付けと表現された冨成さんの言葉にも温かみを感じました。

昼食には、冨成さん監修の炊き出しチームによる精進おとき弁当を頂きました。能登の食材を使った本当においしいお弁当でした。最後にお寺の総代さんより、ご挨拶がありました。その中で、ご自身がご病気になられ、今は食事を十分に召し上がれない、残してしまうことも多いそうです。それが、今日のおときは不思議と全部食べられたんです。とおっしゃっていました。『不思議と・・・。』被災地でなくても、こういうことが、人を支えていくんだなと感じました。


午後は、石川県小松市の本願寺派布教使である八幡真衣さんのお話しでした。子ども食堂を全国に開かれている八幡さんは、地震のあった1月1日の元旦におせちを子どもたちと頂く子ども食堂の最中に被災されました。怖い!と泣き叫ぶ子どもたちの手を取り、避難をした一部始終が語られ、ご主人が家の下敷きになった方との出会い、ライフラインが途絶えた地域のお宅にお弁当と届ける活動、子ども食堂のお子さんが、お年玉を握りしめて自分より怖い思いをしている子たちを助けてあげてと手渡されたこと、八幡さんの被災地でのお話しは、起きていることを目の前で感じていくように心が動かされました。

目の前に起きた事に動いている人がいる。

【今、私ができる事はなんだろうか】

今、これだけの事を知ったからこそ、私にできることを動いていきたい。心からそう思います。
この度、親鸞聖人の御恩に感謝する集いである報恩講をご縁に、みなさんの思いが集まりこの集いが実現しました。すでに、能登は決して一人じゃない。ともに生きようとする大きなうねりの中にいるのだと思います。復興に向けて、これからもご一緒に歩んでまいりましょう。合掌